
■今回のコース
津軽岩木スカイライン8合目(駐車場)→リフト分岐→遭難碑→鳳鳴ヒュッテ→岩木山→
(往路を戻る)→駐車場⇒嶽温泉 嶽ホテル⇒弘前城跡(散策)
今回の東北シリーズ2日目は、日本百名山にも選ばれている、津軽のシンボル、
岩木山へのお手軽山行だ。
岩木山へは、麓からは主に5つのルート(嶽温泉、百沢、弥生、赤倉、長平)があるが、
今回、我々は、津軽岩木スカイラインを使い、クルマで8合目まで上がる。
津軽岩木スカイラインは、いつもは朝8時にならないと麓のゲートが開かないが、
たまたま9/20(土)~22(月)に、重要無形文化財に指定されている「お山参詣」の
期間のため、前日からオールナイトでゲートが開いている。
幸い、事前にこの情報をキャッチしていたので、朝も少し早めにやってきた。

今年、開通60周年を迎えた津軽岩木スカイラインには、69ヶ所ものカーブがある。
自然環境に配慮し、最低限の森を切り開いた結果だという。

駐車場に到着。標高は既に1250mある。
売店は、現在は閉まっており、休憩所兼展望所、トイレのみとなっている。

昨日とはうって変わってクリアな晴天に恵まれた。
七里長浜から津軽半島、その先には遠く北海道(たぶん松前半島あたり)まで見える。

9合目までリフトも通じているが、さすがにそれは使わない。
8合目から歩きはじめる。昨日までの雨で、路面は湿っている。

この標高であるが、背の高い木はもう見当たらず、灌木化している。

リフトの駅から続く道との合流点では、荒々しい火口が覗く。
一番最近の噴気記録は1978年、赤倉沢からだそうだが、江戸時代にしばしば
噴火していたようだ。

大きな安山岩の左手に遭難碑が立つ。
寄ってみると、高校生による2件の古い遭難碑があった。そっと手を合わせる。
お供え物に酒があるのは少し驚いた。仏さんも時を経て成人になったか。

鳳鳴ヒュッテ(避難小屋)から先は、岩場の急登が始まる。

登りと下りの道が分けられており、登山者のすれ違いはスムーズだ。

標高は低いが、実質、森林限界状態になっているので、ずっと眺めはよい。

山頂に到着!!

山頂には、休憩所を兼ねた岩木山神社奥宮の社務所と、バイオトイレが並ぶ。

岩木山神社奥宮では、「お山参詣」で登ってきた白装束の行者さんが
神主さんのお祓いを受けていた。
登拝時に唱和する「登山囃子」の冒頭は、「懺悔懺悔 六根懺悔」。
修験道の総本山である大峰山系では「さんげさんげ ろっこんしょうじょう(清浄)」
と謳うが、ここでは「サイギサイギ ドッコイサイギ」に変わる。

山頂はすばらしい絶景。
津軽半島から、松前半島方面は、先ほどよりも鳥瞰の感度がついて迫力。
平野の中に固まって見える町は、五所川原市の中心部だ。


山頂があまりににも心地よく、50分も滞在してしまった。
下山は、元の道を戻る。

8合目駐車場の休憩所の2階は展望台になっている。
ここでワイドビューを楽しみながら、ランチタイム。

下山して、嶽温泉に立ち寄る。昼の日中から、温泉入浴とはぜいたくな。
マグネシウムと硫黄をたくさん含んだ、「硫化水素性・含ミョウバン・緑バン・
酸性塩化土類泉(緊張低張性高温泉)」という。
1674年、百沢村の杣夫・長五郎が薪切りに出かけた際、一匹のキツネに弁当包みを
さらわれた。追っていくと、キツネは包みを雪穴に落として逃げたが、雪穴からは、
温泉が沸いていた。これが現在の湯の沢で、長五郎は、誰でも入浴できるよう笹小屋を
かけたのが嶽温泉のはじまりという。1794年の火事により、1kmほど下方に湯小屋が
建てられ、四季を通して居住するようになったのが、現在の嶽温泉とのことだ。

温泉にクマが乱入!
みたいな写真になってしまったが、これは剥製(笑)。
午後、まだ時間があるので、弘前市街に戻り、弘前城跡を観光した。
弘前城といえば桜が有名。1715年に津軽藩士が25本の桜を京都から取り寄せ、
現在は約50種類、2600本ほどの桜が植えられている。
毎年4月下旬~5月上旬に開催される「弘前さくらまつり」は、約200万人が訪れる。
城そのものは、江戸時代後期に建てられた天守が現存する貴重なものだ。

現在、天守は工事のため、もともとの位置から曳家工事により移動させた。

2012年、天守付近の本丸石垣が膨らみ、天守も傾いてきたことから
2015年、天守を曳家で約70m移動させた。

城跡を歩き回っていると、それなりに疲れてくる。
武徳殿の休憩所にあるカフェで、アップルパイとコーヒーを楽しんだ。
ところで弘前公園内には、古木、巨木が複数あって、城跡以上に楽しめた。

東内門をくぐったところにある、当公園最長寿のソメイヨシノ。
1882年(明治15年)に植えられている。

幹周り573cm、推定樹齢500年以上のネズコ(クロベ)。
青森県が自生の北限で、この樹は築城以前から自生しているものと思われる。
樹皮は、火縄銃の火縄として利用されてきたという。

環境省の巨木輪調査により、日本最大の幹周り(582cm)を誇るソメイヨシノ。
明治15年に植えられた可能性があるという。

青森県の天然記念物で、アカマツとクロマツの雑種であるこのアイグロマツは
幹周り689cm。樹高い31m、推定樹齢330年以上。
藩日記によれば、1685年に三の丸土塁にマツを植えたと記されているそうだ。
今回、青森県の山や観光名所の情報もいろいろ入手できた。
東北地方の山は、まだほとんど知らないが、少しずつ歩いていきたい。