Mr.Dashのぶろぐ館(新館)

関西の山々や日本アルプスが大好き。日本山岳ガイド協会認定登山ガイド(ステージⅡ)、山岳ライターでもあるMr.Dashのブログです。Gooブログのサービス停止(2025/11)により、引っ越してきました!

2026年3月15日(日) [松阪]鈴の音アルプスを縦走、北畠氏の山城・阿坂城(白米城)跡へ!!

■メイン写真
白米城跡の枡形山山頂は、全方位の展望が広がる

■今回のコース
浄眼寺→阿坂城跡(椎ノ木城跡、白米城跡=枡形山)→枳峠→鉢ヶ峰→岩内川ノ高→
堀場山→日川富士→日川峠→瑞巌寺⇒松阪農業公園ベルファーム


全国に"ご当地アルプス"は数多くあるが、三重県松阪市にも「鈴の音アルプス」が
存在する。
この名の由来は、松阪が生んだ江戸時代の国学者・本居宣長が「鈴」を好んだ
ことによる。宣長は、「鈴の音が好きで研究などで疲れたとき、鈴の音をきき、
疲れを癒やした」という。彼がこの山々を登山していた、ということではないようだ。

スタートは浄眼寺。曹洞宗の寺で、文明10(1478)年、伊勢国司だった北畠政郷が、
僧・玄虎を招いて開創した北畠氏の菩提寺だ。
のち、織田信長により焼かれた。かつては六万石の格式があったという。

寺の右手から、獣除けゲートを開けて、未舗装の林道に入る。
クルマは入れないが、軽の4WDなら、なんとか走れるのではないかと思えるほど
道は歩きやすい。

小野町分岐を過ぎ、順調に緩い坂を上っていくと、右下に大杉が見える。
その後、薬王寺町ルートの分岐からは、南へ続く尾根道に入る。

ほどなく竪堀や土塁の跡が現れる。阿坂城跡だ。
ていねいな説明板があり、理解が進む。

松阪市観光協会のHPによると、阿坂城は、南北300m、東西150mの範囲に及び、
南北2つの郭からなり、北郭を「椎ノ木城」、南郭を「白米城」とも呼ぶ。
まずは椎ノ木城跡に登ってみるが、さしたる展望はない。

次に、すぐ横の白米城跡へ。本丸跡に上ると、そこは360度の大パノラマ。

この日は快晴、空気も澄んでいて、かなり遠くまで見通せた。
これは木曽の御嶽山。中央アルプスや恵那山も見えた。

鈴鹿山系、左の高い山が御在所岳。

西には矢頭山。
ほかには青山高原、伊勢湾の対岸や伊勢方面までクリアに見えて感激した。

山名プレート。これを裏返すと、

別名が現れる、凝ったつくりである。

阿坂城は、南北朝時代には既に存在しており、応永22(1415)年、北畠満雅が
足利幕府軍を撃退したという。
幕府軍は水断ち作戦に出たが、籠城する満雅は、馬の背に白米を流して水が
あるように見せ、幕府軍を欺いたという。「白米城」の名の由来だ。
似た話が、岐阜県中津川市の苗木城にもあったな。

阿坂城はその後、永禄12(1569)年、織田信長の大軍が、当時、北畠の重臣だった
大宮氏が守る阿坂城を陥落させたという。

山頂をあとに、縦走路に入る。ガス漏れのようなニオイのもとは、春の風物詩、
ヒサカキの花である。

植林の中、枡形山南峰のプレートがかかるピークを通る。

さらに無名の峠を経て、ひとつピークを越えると、枳(からたち)峠に着く。
東麓の枳池へ続くルートは、みごとな切通しになっている。

ここでランチタイム。
じつは先行パーティがおられ、同じガイド協会に所属するベテランのYさんが
引率中。K社のツアーだった。
我々がランチ中に、テキパキと行動食を済ませ、出発された。
そのあと、のんびりペースの我々が追いつくことはなかった。

枳峠から、次の鉢ヶ峰までは標高差約200mの、この日最大の急登だ。
北西の冷たい風が当たり、なかなか汗をかかない。

尾根道には岩場も混じってきて、固定ロープが張られている。

鉢ヶ峰のピークは、わずかに展望が保てている。

ここから先は、やや単調なアップダウンになる。
次のピークは鉢ヶ峰南峰。植林の中、展望なし。

続いて、岩内川ノ高。「岩内」は、東麓の集落で「ようち」と読む。
ここも植林の中、展望なし。
「~ノ高」という呼び名は、三重県中南部の山に多い。
「~ノ頭」などというのと同じようなイメージだ。

堀場山。これまた植林の中、展望なし。

そして日川富士のピークへ。本日の最高点は508m。
ここも植林の中、展望なしという、後半はやや地味なピークハントとなる。
冷たい風が吹きつけてきて、少し休憩しただけで、そそくさと撤退した。

日川峠に回り込むと、尾根をはさんで風下になるので、ぽかぽかと暖かい。

ここからは岩内川の上流を沢沿いに下りていくのだが、かなり荒れている。
沢の水量はたいへん少ないものの、豪雨などで土砂が削られたり、山ヌケの
跡があったりして、本来つけられていた山道は各所で寸断され、何度も
徒渉(たいした水量ではない)を強いられる。

標高260mあたりまで下りてくると、立派な簡易舗装の林道となる。
沢の水量もしっかりしてきて、時折、斜瀑を眺めながら歩く。
小規模だが、美しい瀞場と一条の滝をみつけた。

瑞巌寺に下りてきた。朱塗りの本堂がひとつ。
瑞巌寺、もとは弘法大師が開いた真言宗の寺だったが、戦乱や大地震で荒廃し、江戸中期に
門超上人が復興して以来、浄土宗の寺となった。

本堂前の小さな窓から中を覗くと、そこにご本尊はなく、なにやら丸い窓が
開いている。これは不思議。

本堂の裏に回り、岩内川の対岸の岩壁を見ると、そこに顔だけの磨崖仏が見える。
これが、弘法大師が刻んだと伝わる十一面観音だ。

境内の下手には鏡池がある。堤防の向こうは伊勢湾が見える、インフィニティ感がいい。

山門は岩でつくられた神秘的なデザイン。門をくぐると、椥の木がある。

ともちゃんが回送してくれたクルマんが来た。帰りに松阪ICのすぐ近くにある
松阪農業公園ベルファームに立ち寄り、夕方になって半額となった唐揚げに舌鼓。
縦走のあとは、やっぱり肉なのである。松阪牛には届かないが(笑)。