Mr.Dashのぶろぐ館(新館)

関西の山々や日本アルプスが大好き。日本山岳ガイド協会認定登山ガイド(ステージⅡ)、山岳ライターでもあるMr.Dashのブログです。Gooブログのサービス停止(2025/11)により、引っ越してきました!

2025年7月30日(水) 大台ヶ原登録ガイド限定プログラムで、西大台の歩道外・トロッコ跡を歩く!!

■メイン写真
豊かな緑で覆われている西大台・防鹿柵内の林床
※当プログラムは、講習を受けた大台ヶ原登録ガイドが環境省の許可を得て、ふだんは
 立ち入りが禁止されているエリアに一般のお客様をガイドしたものです。


■今回のコース
大台ヶ原駐車場→西大台入口→大台協会→周回ルート分岐→ナゴヤ谷渡渉点→七つ池→
(歩道外コースへ)→赤い吊橋2つ→開拓分岐→開拓跡→開拓分岐→たたら力水→
周回ルート分岐→西大台入口→大台ヶ原駐車場


大台ヶ原では環境省が中心となり、かつての植生を長い時間をかけて取り戻すべく、
さまざまな自然再生事業が行われている。
その一環として、2018年からスタートした大台ヶ原登録ガイド制度があり、
大台ヶ原の自然、歴史、保全活動等、広範にわたる研修会を通して、ガイドの
スキルアップが図られている。

今年、大台ヶ原登録ガイドの中で、一定の講習会を受講したガイドのみが案内できる
限定プログラムがスタート。
日本最高気温41.2度(丹波市)が記録された快晴のこの日(おまけにカムチャツカ地震

よる津波警報も!!)、おなじみのお客様を西大台にご案内した。
ビジターセンターで、入山者全員に立ち入り許可を示す特別な腕章が配られる。
あわせて、防鹿柵のゲートの鍵を預かる。

この日の目玉は、環境省の特別な許可を頂き、防鹿柵(シカの侵入を防ぐ柵)の中に
入らせてもらい、柵内の植生等を間近に観察できるというもの。
その歩行ルートは、大正時代に伐採した木材を運搬していたトロッコ軌道跡だ。

大台ヶ原駐車場を出発。この時点で気温は23度。さすが大台ヶ原。涼しい。

大台協会で、山行の無事を祈る。

ゴヤ谷の渡渉点は、バイケイソウがいっぱい。ガス漏れのようなニオイ。

ナガレヒキガエルがいた。
オオダイガハラサンショウウオの幼生あたりを狙っているのだろうか。

オオイタヤメイゲツが夏の光を通す。キレイ。

今日は、おヒガラもよく。

ブナの巨木。生命力にあふれている。

某所で登山道を離れる。
ロッコ森林軌道が敷かれていたところ。
既にレールは撤去されているが、地形から、線路が敷かれていたところがハッキリわかる。

一面のコケ。古き良き大台ヶ原の雰囲気が残る。ジブリの世界である。

柵の南京錠を開けて、禁断の立入禁止区域に足を踏み入れる。

まあ、私自身は事前の研修で2度も下見しているのだが。

柵の内外で、植生の違いがハッキリわかる。

柵内は当時の製紙会社による伐採が行われてから100年以上が経過し、防鹿柵を

設置してからも18年が経っている。
この間、人間の手が入っていない「準原生的」な森だ。

ロッコの軌跡は、まだ背の低い落葉広葉樹の稚樹の間をすり抜けながら
何とか歩ける感じなのだが、両側の林床は濃い緑で包まれている別世界。

佐渡島屋久島、北海道で観たような緑の森に負けない、100年の深い森が
そこにはあった。
ここは一度、伐採された場所なのだ。自然の回復力を実感する。
また、シカの往来を停めると、落葉広葉樹の若い樹々がこうも育つものなのかと
驚かされる。
シカも自然の一部なのだから、それを除外したものは、もはや「自然」では
なかろうという指摘もあるだろうが、自然のバランスを越えた頭数に増えたシカは
現在の人間同様、「不自然」な存在になっているともいえる。難しい問題だ。

反対側の柵の鍵を開けて、囲まれた世界から出る。
ふたたび、人間の手は入れていないが、シカが闊歩するエリアに来たのだ。
このあと、某所で西大台の歩道に合流する。

赤い吊り橋をふたつ渡り、開拓跡へ。携帯トイレブースが並ぶ。
ここまで来て、あとはしばらく道を引き返す。
開拓跡までわざわざ来たのは、人と西大台の歴史上のかかわりをより深く
知っていただくためだ。

もと来た道をしばらく戻り、あとは一般歩道をとる。
大台協会が、気象庁へ気象データを送信していた名残の碍子が、古い樹木に
なかば「食べられて」いる。
これも、大台ヶ原と人との関わりを示す証拠であるが、樹木の生長にしたがい、
やがては幹の中に飲み込まれてしまうのだろう。

たたら力水の巨岩。
ここでは、古代、日本各地で行われていた「たたら製鉄」と、大台ヶ原の妖怪
「一本たたら」の話を、私見を交えて披露した。

後半は歩きやすい遊歩道。沢もにも橋が架かっている。

ゴヤ谷の清冽な流れ。
帰りは駐車場まで上り坂になる。おまけに午後の西日が暑い。
基本的に歩道しか歩くことを許されない西大台だが、そうでなかったら
沢筋に下りてザブザブしたいくらいだ。

駐車場に無事、戻ってきた。
お客様には、環境省が用意したアンケートに協力していただき、
貴重なプログラムが完了した。

なお、この日は環境省から2名の職員さんが、我々に同行された。
監視役的な雰囲気は嫌だなと思ったので、疑問に感じたことや、この貴重な機会に
聞いてみたかったことを思い切って質問したり、お客様とも雑談して頂いたりして、
山行をともにする仲間として、一体感あるパーティで行動できたことは
本当に良かったと思う。
そういう雰囲気づくりを受け入れてくださった職員さんには深く御礼申し上げます。


※東大台は遊歩道・登山道なら誰でも自由に歩けるが、西大台は事前に入山申請と
 入山料1,000円の納付が必要です。1日に合計30~100名までの入山制限があり、
 1パーティは10人を超えることができません。
 加えて、入山前にビジターセンターでのビデオによる説明を視聴する必要があります。

大台ヶ原は、山に慣れた人なら自分自身で歩くことも可能ですが、大台ヶ原
 自然、文化、歴史に詳しい大台ヶ原登録ガイドと一緒に歩くと、きっと大きな発見が
 得られることと思います。ぜひ大台ヶ原登録ガイドをご用命ください。