Mr.Dashのぶろぐ館(新館)

関西の山々や日本アルプスが大好き。日本山岳ガイド協会認定登山ガイド(ステージⅡ)、山岳ライターでもあるMr.Dashのブログです。Gooブログのサービス停止(2025/11)により、引っ越してきました!

2025年5月25日(日) [大峰]八経ヶ岳、霧雨と北風の中、満開のシロヤシオに慰められる!



■メイン写真
奥駈道出合周辺は、シロヤシオがみごとに開花していた!

■今回のコース
行者還トンネル西口→一ノ垰(タワ)→出合→石休ノ宿跡→弁天ノ森→聖宝ノ宿跡→弥山小屋→
八経ヶ岳→(往路を戻る)→行者還トンネル東口


3年ぶりの八経ヶ岳は、シロヤシオシャクナゲが咲くこの季節にした。
どうもガイド業を始めて以来、八経ヶ岳にはオオヤマレンゲの頃に登ることが
多くなっているが、じつはトンネル西口からの急坂と、奥駈道に合流してから
石休(いしやすみ/いしやすば)宿跡あたりまでのシロヤシオ群落は非常に美しい。

しかし、天気がよくない。前日は大雨で、国道309号は当日の朝8時まで雨量制限の
通行止めというギリギリの事態。
天気図、天気予報をにらめっこしながら、引き返すことも念頭に足を運んだ。
雨は時折、霧雨程度に降る程度で済んだが、午後からは、たまにみぞれ混じりに。
下山時に稜線でモロに受けた強い北風には、ほんとうに寒く感じた。

行者還トンネル西口駐車場の管理人さんに「ちょっとご無沙汰でスンマセン」とご挨拶。
「気ぃつけてな」と送り出され、山行をスタート。

山道に入り、いきなりナガレヒキガエルに遭遇。

増水中の沢にかかる橋を渡り…

鉄製階段を上がる。

はじめの急登が、まだ温まっていない足腰につらい。

シャクナゲが多くみられる。
シロヤシオの樹ははポツポツと出てくるが、昨夜からの風雨で花が全部落ちていた。
このままずっと、花が散ってしまっていたら残念だなぁと懸念した。

しかし、急登の後半は、まさに満開状態。これは"当たり年"レベルだ。
個人的には、2016年の釈迦ヶ岳で観たシロヤシオ以来の咲きっぷりだ。

わずかではあるが、ピンクの斑入りの花をつける樹もあった。

奥駈出合に到着。ここからは、しばらく緩やかな尾根道になる。
風はほとんどない状態だったので、山行を続行する。

深い霧も、大峰の魅力のひとつ。とはいえ、晴れた山を歩きたいのも本音。

第56番靡・石休宿跡。修験者が納めた木製のお札・碑伝(ひで)がたくさん。
ここは明治以前の記録には出てこない宿跡だそうだ。どんな建物があったのだろうか。

コケが美しい。近年、大峰も少し乾燥化してきているように感じるが、古き良き
大峰の感じが残る。

なだらかなピークになっている弁天ノ森。三角点がある。

巨大なシナノキにパワーをもらいながら進む。

第55靡・講婆世宿(聖宝ノ宿)。
聖宝(理源大師)は、光仁天皇の玄孫で、修験道中興の祖と言われる。
醍醐寺の開祖でもある。
講婆世は、飛騨の国の高僧とのことで、この場所にまつわる伝説があるものの、
ざっと調べても飛騨の寺に関する僧に講婆世の名はなく、ミステリーに包まれている。
講婆世さん、実在したとしたら、どこの誰だったのだろう。

ここからは、聖宝八丁と呼ばれる急坂だ。弥山小屋まで、標高差約300mを一気に登る。
急登といっても、現在のルートは各所でつづら折りになっていて、かなり楽になっていると
される。
じつは聖宝八丁には、かつては行者泣かせの旧道があり、最後の直登は、かなりの難路
だったようだ。
Mr.Dashが弥山、八経ヶ岳に初登頂したころには、すでに現在のルートになっていた。

オオカメノキが咲いていた。

現在の聖宝八丁の"難所"は、雨に濡れた時のこの木段だ。
いろんなサイトを見ると、ここでツルッと滑って転んでいる人が多い。
木段の手前で大げさに注意喚起したのが良かったのか、行き、帰りとも、誰も
転倒するお客様はいなかった。この日のお客様、健脚かつ慎重でレベルが高い。

鉄階段が出てきたら、もう弥山小屋は目と鼻の先だ。

ミネザクラが咲いていた。まだ花見ができるとは、なんてラッキーな!!

弥山小屋のすぐ手前には、何十年(ひょっとしたら何百年)も積み重なったセイタカ
スギゴケの群落がある。モフモフの中に手のひらを押し付けると、手が埋まりそうになる。

小屋の前でトイレ休憩したのち、いよいよ近畿最高峰の八経ヶ岳をめざす。

案内標石では、「八剣山」となっている。国土地理院の古い地図を見ると、
八剣山(仏経ヶ岳)となっており、この山には3通りの名称があることがわかる。

八経ヶ岳には、かつては奥駈道が通っていなかった。
西側を巻いて、現在の明星岳あたりに通じていたそうで、八経ヶ岳
古い地図には山名すらつけられていない。大峰山系の最高峰は弥山だと捉えられていた。
弥山小屋のあたりに宿場はなく、おそらく水場の関係からだろう、巻いた場所に
鉢経の宿(別名:八軒宿)があったという。
そう、鉢経(はちきょう)と、八軒(はちけん)なのである。

オオヤマレンゲ保護柵は、数年前に柵内にシカが侵入し、せっかく育った
貴重なオオヤマレンゲが大被害を受けたため、何重にも強化されていた。
もちろん今の季節は、まだオオヤマレンゲの姿はまったくない。

八経ヶ岳の山頂に到着。この時間を過ぎたら、下山時間が懸念されるギリギリの時間。
予想通り周囲は真っ白。「どんな景色が観られるんですか?」と聞かれ、
「脈々と大峰山脈が続いている」と答えたら、自分も含めお客様の頭の中にも
万博のキャラクターが思い出されてしまった。刷り込みは怖い(笑)。
記念写真を撮って、そそくそと山頂をあとにする。

もと来た道を下山中、行者さんたちのご一行とすれ違った。
かなりの苦戦が読み取れる足袋や脚絆の汚れ。時間を考えると、山上ヶ岳から
来られたか。

ワチガイソウ。

ギンリョウソウ。

皆さんのがんばりで、明るいうちに下山できた。
次は天気がいいときに来たいものだ。