Mr.Dashのぶろぐ館(新館)

関西の山々や日本アルプスが大好き。日本山岳ガイド協会認定登山ガイド(ステージⅡ)、山岳ライターでもあるMr.Dashのブログです。Gooブログのサービス停止(2025/11)により、引っ越してきました!

2014年7月 「還るべき場所」(笹本稜平著、文藝春秋BOOKS)を読んだ


最近、なかなかブログを書く時間がない。
できるだけ睡眠時間を確保しようと努力した結果なので仕方ないかな。

そんな中、通勤途上で半分気を失いながら本を読んだり、
天気が悪い週末には映画を観たりと、登山以外の余暇も少しは
楽しんでいる。

最近読んだ本は「還るべき場所」、笹本稜平著、文藝春秋BOOKS。
笹本さんの本はこれまでに「未踏峰」を読んでいる。
いいなと思ったら、「春を背負って」が映画化されてしまった。

「還るべき場所」の舞台は、世界2位の高峰・K2。
しかし、それに至るドラマは主にブロードピークを目指す公募隊で
ドラマチックに展開される。

4年前に恋人でありザイルパートナーでもある栗本聖美をK2で失った
主人公、矢代翔平。彼の心のゆらめき、迷いに共振させられ、そして彼の
心身の強さに心を打たれる。

翔平がガイドをすることになったブロードピークの公募隊の客として
描かれるハイテク企業のワンマン会長・神津邦正と、元・山屋で秘書の
竹原充明の人間関係も興味深い。
ドロドロの後継抗争に巻き込まれていく神津は、心臓病をおして高峰に挑む。

神津も、一度言い出したらきかない元・企業経営者らしい横顔を持つが、
上司・部下の間柄を超える秘書との関係が、こんな素晴らしいこともあるのかと、
ほんの少し羨ましく感じた。普通はそうはいかないだろうな(笑)。

ストーリー後半の翔平の超人的な活躍は、読んでいて掌に汗がにじんだ。
とんでもない状況に追い込まれていく主人公。
Mr.Dashの「夏のマッターホルンが限界」の実力とは大きく
違うものの、感情移入してしまう。

一冊の小説で、複数の登場人物に共感する例は珍しいことだった。
分厚い文庫本だったが、大いに満足。